続パスカルの葦笛のブログ

FMラジオやテレビやCDのクラシック音楽の放送批評に特化したブログです。

続パスカルの葦笛のブログの新着ブログ記事

  • バレンボイム・ゼジニゼ・木村太郎

    2023・6・16(金)は、色々な事がありました。 評論家木村太郎はフジテレビで7月ウクライナ和平締結を予言しました。果たして当たりますか。それにしてもテレビでは最初の発言で、これが貴重です。裏世界では目に見えない動向がある。多分岸田首相の解散不発弾発言は、選挙どころではない激動を反映している。や... 続きをみる

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  • 一番新しい演奏法ボストック指揮南西ドイツプフォルツハイム室内管弦楽団のモーツアルト31番

    ダグラス・ボストック(1955-)は、何と東京佼成ウインドオーケストラ、東京芸大、洗足学園大学と、日本でお馴染みの指揮者であった。この指揮者が今一番新しい演奏法でモーツアルト演奏をけん引している。 モーツアルトの交響曲31番『パリ』は、ボストックの生涯の代表作になる名演奏だ。20名近い有名指揮者が... 続きをみる

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  • 太宰治『千代女』と女流作家豊田正子の予言

    太宰治にこれほどポレミック(論争的)な小説はない。素材は「綴方教室」で一世を風靡した豊田正子がモデルということは確定している。投稿雑誌『青い鳥』は鈴木三重吉の『赤い鳥』がモデルも確定している。なにを今更作文の豊田正子をモデル小説に書いたのか、疑われる。本音は第一回芥川賞の選考会だ。文壇を疑似文壇た... 続きをみる

  • 緊急報告!洒落たことやってくれましたリン・ダーイエのブルックナー

    第四楽章、76小節でリン・ダーイエが何とシンバルを演奏しましたよ。洒落たことしてくれましたね。 まあ一般的には現在ほとんどしませんよね。フルトベングラーやクナッパーツブッシュを知らないわけではない。ブロムシュテット指揮ウィーン・フィルは改訂版はしたくないので、テインパニでその効果を出した。 リン・... 続きをみる

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  • 清瀬保二(1900-1981)と木山捷平(1900-1968)

    作曲家清瀬保二の代表作歌曲集『メクラとチンバ』がウィキペディアから追放処分されているのは残念でならない。不穏当な表現が災いした処分である。丸で評価に値しない作品に等しい処分である。こんなことが許されていいのかなあ。 というわけで無きに等しいわけだ。それなら人はどの術を使ってこの傑作に行き付くのか。... 続きをみる

  • コーダで超絶技巧のエッシェンバッハ指揮KBS交響楽団のブラームス4番

    エッシェンバッハは第四楽章のコーダで、超絶技巧のリタルランドを披露した。今年最大の名演と言っていいだろう。 第二楽章。 83小節の2つの8分音符にポコ・リテヌートを掛けて、ようやく本腰の演奏になった。これはシューリヒト指揮バイエルン放送交響楽団、バレンボイム指揮ベルリン・シュターツカペルレの演奏で... 続きをみる

  • 追悼:加賀乙彦『フランドルの冬』とアンリー・エー

    芹沢光治良は『巴里に死す』が仏訳され、ノーベル賞候補になったとといわれている。加賀乙彦の『フランドルの冬』が仏訳されたら、同様のことがあったのではないか。むしろ内容はフランス人には身近であり関心の的もあり、ノーベル賞受賞に届いた気がする。スキャンダラスな内容はフランス人向きで、フランス人の趣味にも... 続きをみる

  • ルイージ指揮NHK交響楽団のベートーベン6番『田園』

    大変フルトベングラーを意識した演奏だった。その影響は多々あったのが好ましかった。 第二楽章。 フルトベングラー指揮ベルリン・フィル1954年では小鳥たちのさえずりでは、132小節のフルートの後半でアッチェレラントを掛けたが、ルイージが踏襲している。 正確に言えば、3つ目から急速に速度を上げた。 第... 続きをみる

  • 芥川龍之介の『玄鶴山房』と黒歴史

    『韓非子』に玄鶴の故事がある。春秋時代に衛の霊公が旅先の宿で琴の音を聞いて眼が醒めた。たえなる音楽に感動して、楽人を呼んで採譜させたのである。普の平公に会った時、この話をして演奏させた。平公はこれは亡国の歌で最後まで演奏してはならないといった。周の武王が殷の寸王を討伐した時追われて入水自殺をした時... 続きをみる

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  • 斉藤有香里指揮関西フィルのシューマン4番

    斉藤はドイツの正統派の指揮伝統を学んでいて、それを日本に移植するという点で優れているわけで、今回もそれを痛感させられた。 第一楽章。 42小節のテインパニで、斎藤はリタルランドを掛けた。 ケーゲル指揮NHK交響楽団の演奏はその3つの8分音符にffを掛けたということでユニークだった。もっともケーゲル... 続きをみる

  • 山崎行太郎の柄谷行人論(『力と交換様式』)

    哲学のノーベル賞バーグルエン賞を受賞した柄谷行人の『力と交換様式』だが、今一番簡単に解説しているのが山崎行太郎である。『合評会・柄谷行人力と交換様式』(23・2・18)があり、『柄谷行人を解く』(23・5・11)もいいだろう。分かり易く解説しているのは山崎行太郎以外にいない。 山崎は『小林秀雄とベ... 続きをみる

  • ブリュッヘン指揮18世紀オーケストラのモーツアルト41番

    ブリュッヘンの1986年のライブ録音。古楽器奏法の最初期の録音である。 第一楽章。 94小節の楽譜はfで印刷sされているが、ブリュッヘンは何とあえてppに演奏している。  これはかなり衝撃的な演奏だったらしく、ルネ・ヤコブ指揮フライブルグバロック・オーケストラもppにしている。ブリュッヘンの影響で... 続きをみる

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  • ミョンフン指揮東京フィルのブルックナー7番

    この人の強みはダイナミクス・レンジの広さで、誰よりも大きな音がする。それがブルックナーにも生かされたということか。 第一楽章。 91小節のホルンで、第一拍目の付点二分音符が見事なクレッシェンドをした。 シューリヒト指揮ハーグ・フィルの演奏で、古来より名演の誉がある。91-103小節の シューリヒト... 続きをみる

  • N響生中継ルイージ指揮NHK交響楽団のフランク交響曲

    ルイージによると近年のヨーロッパでは次第にフランクの交響曲は演奏されなくなっているという。元来が地味な音楽である上に名演が少なくなったためであろう。フルトベングラーやパレーの演奏などが名盤なのであろう。ヤニック・ネゼ=セガンが指揮したモントリオール・メトロポリタン歌劇場管弦楽団の演奏などは直近の名... 続きをみる

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  • アルノンクール指揮ウィーン・コンツェルト・ムジクスのベートーベン5番『運命』

    アルノンクールの『運命』の演奏、古楽器奏法の演奏としては貧相過ぎたが、第四楽章では面目が躍進された。ちょっと全集の完成がとん挫した所以が分からないではない。是が非でも完成させたい執念があったら、完成出来たのであろうが、そういう緊張感がないのである。 とはいえ第四楽章は傑作である。58小節のトロンボ... 続きをみる

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  • 東京銀座強盗事件、日本はウクライナになる

    東京銀座の高級ブランド腕時計店強盗事件で、通り掛けの女性がドアを閉めて犯罪行為に抵抗する姿が話題になっている。何人かが眼前で犯罪行為がおこなわれていることに、こんなことが許されてはいけないと自然発生的な良心の抗議を表現している。 この国が無法地帯になる境界線に立っている気がしてならない。これを見逃... 続きをみる

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  • フランク指揮フランス放送フィルのドビッシー交響詩『海』

    フランクの巨漢の体格に相応しく強引に引っ張られてゆくドビッシーの『海』は改訂版の楽譜の弱点にもかからわず、強引な音作りが功を奏した。 フランクはあまりテンポを揺らさないのだが、それでも最小限のアゴギーク(伸縮)があった。第三楽章の49-10小節で例によって幾分テンポを落とした。52-7小節ではデイ... 続きをみる

  • 画期的な演奏バーメルト指揮札幌交響楽団のシューベルト8番

    バーメルトに間違いがあるとしたら、この画期的な演奏を消極的に表現したことだろう。本邦初の新全集版の楽譜で8番(9番)を演奏したことは画期的なことだ。 ノーマルなオーケストラではアバドが紹介した新全集版の楽譜で演奏されることは日本でも欧米でも稀である。アバド指揮ヨーロッパ室内管弦楽団による新全集版の... 続きをみる

  • 「魂を継ぐもの~破滅の無頼派・西村賢太」Eテレ特集

    4月29日(土)Eテレで、『魂を継ぐもの~破滅の無頼派・西村賢太』が放送された。例によって件の人物が顔を揃えて七尾の菩提寺に一周忌をおこなった。玉袋筋太郎の元気な姿が見えて慶賀に耐えない。(長く細く人生を全うしていただきたいと願う。)伝説的な人物の朝日書林の荒川義雄氏が登場して拝顔できたのがなによ... 続きをみる

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  • スクロヴァチェフスキ指揮ガリシア交響楽団のブルックナー4番

    この人の伝統回帰にも凄いものがある。アメリカ時代は機能一点張りの機能主義者で、楽譜に書いてあることを如何に音にさいげんするかに腐心した指揮者だった。そしたら古臭いブルックナーを取り上げ、しかも伝統的な解釈に復帰した。彼の本音はここにあったわけだ。伝統的な解釈を知らないないのではなく、ただ封印してい... 続きをみる

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  • テレビの総合力平均力が、岸田首相爆弾事件の犯人で再評価

    和歌山の岸田首相爆弾事件の犯人で、消える運命のテレビが再評価されてきた。犯人は安倍国葬に皆が反対しているのに何故実行したかで不満だった。 犯人が日本国民の皆が反対しているのに国葬をやったことに反発した。自分の心地よい意見ばかりに耳を傾けて反対意見が頭に入らない。SNSばかりやっている人は自分と同じ... 続きをみる

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  • 西部邁と「孤高の指揮者宇宿允人」

    保守論壇の巨星西部邁が、自分の番組で「孤高の指揮者宇宿允人」を特集している。宇宿允人(1934-2011・3・5)の没後百日で追悼番組をした。個人誌『発言者』で西部は宇宿允人を招いて、対談をしたのが最初で、5回ほど演奏会を聞いた仲になった。 宇宿允人が2011年3月5日に76歳で死に、7月に追悼番... 続きをみる

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  • ベートーベン交響曲5番『運命』の構造

    従来から『運命』は数学的構造に支配されているということが言われてきた。第一楽章の 提示部・展開部・再現部・終止部が「ほとんど同数の小節数をもち、非常によく部分間の均整がとれていることがわかる。」(諸井三郎)と指摘されていた。 バッハでは占星術の影響で、むしろ厳格な数字が厳守されていた。カントは天体... 続きをみる

  • 不運な指揮者ヘルベルト・ケーゲル(1920-1990)

    東ドイツの名指揮者ヘルベルト・ケーゲル(1920-1990)ほど不運な指揮者はいないだろう。人生には不運続きということがあるが、ケーゲルの不運もそうだった。不運に打ち勝つには奇をてらうしかないのだろう。 1979年、ケーゲルを日本に招聘したのは民音だという説がある。 O民音の招きで来日した。(青沢... 続きをみる

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  • 小林秀雄『音楽談義』昭和42年

    対談の相手は五味康祐、クラシック音楽では最も信頼した人物である。骨董の青山二郎に匹敵する好敵手だ。正直に言えば骨董の青山二郎にクラシック音楽の五味康祐は、落ちるだろう。だが何かオーディオとレコードでは絶対的信頼を置いていた。五味康祐に信用を置く何かがある。実は五味康祐は片耳は聞こえなくて、終始イヤ... 続きをみる

  • 司馬遼太郎に奈良本辰也、松本清張に樋口清之

    今年は司馬遼太郎(1923-1996)の生誕100年の記念年だそうである。東に松本清張(1913-1997)ありで、ともかく広い読者を持った。小林秀雄も「司馬遼はいいよ」と可愛いがった。大衆作家を国民作家に育てたひとだ。 司馬遼太郎は国民を左翼史観から国民史観に引き戻し、松本清張は違う意味で奥さん... 続きをみる

  • バリー・ダグラス、フィリップス指揮アルスター管弦楽団のベートーベン『皇帝』

    ピアニストのバリー・ダグラス(1960-)、チャイコフスキー・コンクールの優勝者。来日したこともあるピアニスト。随分懐かしい名前である。 アルスター管弦楽団の所在地にして、バリー・ダグラスの生地が北アイルランドのベルファーストだという。ベルファーストと言えばテロの地ではないか。1960年代のベルフ... 続きをみる

  • ライアン・バンクロフト指揮BBCウェールズナショナル管弦楽団のシューマン1番

    ワルター指揮ニユーヨーク・フィル1945年ライブ録音をバンクロフトは研究しているのではなかろうか。それだけにワルターに匹敵した名演であった。 第一楽章。 冒頭のホルンのコラールをワルターはリタルランドを掛けて演奏したが、バンクラフトが踏襲していた。 2と4小節に二人はリタルランドを掛けていた。もう... 続きをみる

  • シューベルト『美しき水車小屋の娘』と民話『猿嫁入り』(1)

    一見何の関係もなさそうでありながら、この二つは同じことを語っている。19世紀のドイツの詩人ミューラー(1794-1827)の詩集『さすらうホルン吹き』(1821)の第一部が『美しき水車小屋の娘』の詩であった。しかしこの詩はイタリアの作曲家パイジェルロの歌劇『美しき水車小屋の娘』の台本であった。決し... 続きをみる

  • ドレスデン版使用ハンス・シュミット=イッセルシュテット指揮北ドイツ放送響のブラームス4番

    ハンス・シュミット=イッセルシュテット(1900-1973・5・28)死去1通間前のライブ録音とのことだが、またドレスデン版を使用していることが珍しい。ドレスデン国立管弦楽団ゆかりの指揮者ブロムシュテットや若杉弘以外に使用しているのはないので、部外者の彼がドレスデン版を使用しているのが珍しい。19... 続きをみる

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  • 『映像の世紀—戦争の中の芸術家フルベンとショスタコ』

    NHKの『映像の世紀バタフライエフェクト—戦争の中の芸術家フルトヴェングラーとショスタコーヴィッチ』を興味深く見た。人間は国家から逃げられない。サッカー選手によってそれを知らされた。国家を自己否認したところで愚かと知らされて、日本のサッカー選手は改めて欧米並みに自ら国歌斉唱を歌うようになった。やが... 続きをみる

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  • 坪内祐三(文芸評論家)年譜ー結構な不幸を淡々と生きて

    坪内祐三(1958-2020)文芸評論家。一番似ている存在が十返肇か。目立つことなく存在し続けて一度もスポットライトが当たらないで終わった。しかし年収2000万円で20年続けて大層な収入と言えるだろう。著作は60冊、ベストセラーは一冊もなし。売れていないようでいて、売れている。有名であるようでいて... 続きをみる

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  • 卑弥呼の正体を二歩前進させた研究

    1『魏志倭人伝』は邪馬台国の住民が刺青をしていたこと。 2女王卑弥呼は巫女で神託を伝授させたこと。ひいては日本の巫女の原型であること。                   * 昨夜NHKラジオの深夜便を聞いていたら、野鳥の紹介で野鳥ミコアリサを紹介されていた。大変興味深く聞いた。 これがミコアリサ... 続きをみる

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  • カサドジュ指揮関西フィルの『幻想』交響曲

    隅々に至るまで名演であった。92歳でアルプス交響曲を詳細に表現したハンス・ドレバンツと双璧だと言えよう。カサドジュの方は86歳という。 とくに第一楽章の演奏は詳細を極めた。 166小節の反復もカサドジュは行った。 451小節のテインパニでは、一打派と二打派に分かれるのであるが、カサドジュは一打派で... 続きをみる

  • モントウー指揮ロンドン交響楽団のブラームス2番

    往年の名盤である。87歳の高齢だが細部に至るまできめ細やかな指示が行き届いていて、一点の揺るがしのない演奏が実に明解に聞こえるのが驚異でもある。ステレオ録音の最初期だが、不足のない録音である。 いささか通常でないのは、余人のしない第一楽章の反復を実行したことである。1962年の録音。1980年にな... 続きをみる

  • 大江健三郎と成田三樹夫は同年同月同日生まれで同じ東大生

    怪物俳優成田三樹夫は山形大学中退という経歴は知られていたが、その前に東大中退だったらしい。さらにノーベル文学賞の大江健三郎とは東大の同級生だったか。 3月3日、大江健三郎は88歳で老衰で死去された。とすると同じ年の成田三樹夫も88歳だったのだ。生きていてもおかしくない。感慨がある。 大江健三郎(1... 続きをみる

  • ダン・エッティンガー指揮東京フィルの『シェヘラザード』

    リムスキー=コルザコフの交響組曲『シェヘラザード』は第三楽章の「若い王子と若い王女」の解釈が一番濃厚であった。 第三楽章。 106小節のピッコロで、2つの8分音符をかなりテンポを落としてリテヌートで演奏させたのが印象的であった。 同じ旋律は126小節の第一バイオリンで再現されるが、同様にエッティン... 続きをみる

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  • アレホ・ペレス指揮第二国立劇場のヴァーグナー歌劇『タンホイザー』

    アレホ・ペレス(1972-)指揮のヴァーグナー『タンホイザー』はヴァッカナーレ連結のパリ版が使用されていた。出演者結構長いフレーズで歌っていたのが一番気になった。これが一番特長的だったか。 ヴァーグナーの『タンホイザー』(1845)がハイネの『タンホイザーの歌』(1836)『流刑の神々』(1852... 続きをみる

  • ロマン・ポランスキー監督とハイドンのパトロン・エステルハージ侯爵

    ロマン・ポランスキー監督の映画『オフィサー・アンド・スパイ』(2019)は、19世紀末のスランスで起きた冤罪のドレフュス事件を扱った映画である。テーマは単なる詰まらない細かい事が気になり事実を蔑ろにするのが大嫌いな小心者の役人(軍人)が、陸軍全体に蔓延る冤罪体質を告発してやがて巨大な陸軍という役所... 続きをみる

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  • ブリュッヘン指揮18世紀オーケストラのベートーベン3番

    ブリュッヘンはハイドンからベートーベンへの交響曲の発展は実に明解であるという。ベートーヴェンの1番はハイドンの模倣で、それだけ交響曲の発明家の行き届いた理解がなされている。 通常は2番から3番への飛躍はロマン・ローランの傑作の森伝説で、凡人から天才の飛躍であったとされている。1番2番は凡人ベートー... 続きをみる

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  • 恩師保昌正夫と小説家西村賢太の誕生

    国文学者の保昌正夫(1925-2002)が小説家西村賢太(1967-2022)の生みの親であったことは余り知られていない。出産現場に立ち会った朝日書林店主荒川義雄の証言(『本の雑誌』22・6)がなかったら、知ることもなかった。 遺作『雨滴は続く』は、2004年西村賢太37歳の動向を扱った千枚の大作... 続きをみる

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  • フーベルマン・スタインバーグ指揮ベルリン国立歌劇場管弦楽団のチャイコフスキー・バイオリン協奏曲

    十九世紀末の退廃趣味満点といえばフーベルマン・レーケンパ・スペルピアといった三羽ガラスであろう。歌人の塚本邦雄はコンチータ・スペルピア(1895-1936)に熱をあげて熱狂したことはつとに有名だ。カルメンのスペルピアか、スペルピアのカルメンかと呼ばれたコロラトゥラの名唱であった。その点ではレーケン... 続きをみる

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  • 小泉和裕指揮新日本フィルのフランク交響曲

    第一楽章。 テインパニのクレッシェンドの強調が目立った。59-60小節などは、cresc、fなどはじつは山田一雄指揮東京フィルと全く同じ解釈で、師匠譲りというころがあるのかもしれない。 11-12小節も同様にしていた。 コーダのフルトベングラーの有名なテンポを落とす所、小泉はそれほどではないが、ポ... 続きをみる

  • 岸田首相のウクライナ訪問とハイブリッド戦争

    岸田首相は「G7の首相としてまだウクライナ訪問をしていないのは恥だ」と発言した。たった一人訪問していない。野党は国会事前承認は不要と、何時にない物分かりが良い。裏に何か有りそうだ。 テレビでは犯人に事前にインタビューさせておいて、警察が逮捕して、辻褄が合わないようにする。テレビ局は事前に犯人なのを... 続きをみる

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  • 意外にオーソドックスなレイボヴィッツ指揮ロイヤル・フィルのベートーベン2番

    ベートーベンのメトロノーム指定に即した速いテンポという神話は1960年代に作られた神話で、意外に聞き易い演奏である。リーダース・ダイジェスト版のベートーベン交響曲全集であることを初めて知った。セル指揮クリーブランド管弦楽団の演奏は同様の普及版なのだとグールドが揶揄している。その真意は芸術ではなく大... 続きをみる

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  • 年末特番NHK『生誕250年ベートーヴェンの謎』を見る

            ギュルケ校訂版ベートーヴェン交響曲5番『運命』楽譜 ベートーヴェン生誕250年祭は2020年で、コロナ流行に当たり自粛で散々な行事になった。本番を見落としたので、年末の再放送で確認出来た。 ベートーヴェンにとっては不運だが、内容を見ると斬新なものはなかった。新しいベートーヴェン像は... 続きをみる

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  • 作家以前の西村賢太

    作家以前の中上健次は羽田空港の公務員をしていた。明大を中退して浅草の芸人になった北野武は、アルバイト人夫で羽田空港に働きに行って、作家以前の中上健次と出会った。北野武は口をつむんでいるが、察するに威高々な振る舞いであったらしい。公務員と人足稼業では対等でないというわけだ。 中卒の西村寛太は背広とア... 続きをみる

  • 宇野浩二『枯木のある風景』は芭蕉の枯淡かシュールレアリスムか

               小出楢重『枯木のある風景』 宇野浩二は昭和二年精神病を患い、退院後の第一作として『枯木のある風景』を発表して、見事な返り咲きをした。 小説は洋画家小出楢重がモデルで、同業者の友人真鍋克之との成り行きを描いた。 小出楢重は芦屋にアトリエがあり、夫人が注文を取り客の好む売り絵を描... 続きをみる

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  • ヤン・リシエツキ独奏指揮アカデミー室内管弦楽団のベートーベン『皇帝』

    カナダのピアニストのヤン・リシエツキ(1995-)による2018年のライブ録音によるベートーベンのピアノ協奏曲5番『皇帝』。 自分でオーケストラの指揮もするという強者だから、相当灰汁の強い人なのかと思うと、さほど自我を押し付けるようでもない。 第一楽章の166小節のcresc.をfで弾くころから個... 続きをみる

  • ヤクブ・フルシャ指揮NHK交響楽団のブラームス交響曲4番

    大変な熱演、力演であったようだ。 それはさておき、一点第三楽章で注目すべき解釈があったことだけは言及しておこう。 88小節のテンパニで、クレッシェンドを掛けていたことだ。 ここでシューリヒト、バーンスタイン、バレンボイム、そしてフルシャなどがクレッシェンドしている。そうしてみると定石のようなことに... 続きをみる

  • 広上淳一指揮東京フィルのワーグナー『名歌手』前奏曲

    広上淳一は『名歌手』前奏曲を重厚なテンポで開始した。 210小節のテインパニで広上淳一は、一点きらりと輝る解釈を見せた。 確かにテインパニの8分音符の一打は抜きん出て聞こえた。

  • バート・バカラックとダリウス・ミヨー

    バート・バカラック(1928-2023)が2月8日94歳で亡くなった。92歳の時日本のテレビ局が取材に行くとインタビユーに答えてくれた。養老院のようなところだったと思う。それでフランスの作曲家ダリウス・ミヨーに作曲を学び、下手に勉強して個性を失うより、自分の個性を成長させた方が良いと偉大な助言を貰... 続きをみる

  • クラシック業界の明智光秀ホグウッド(1941-2014)三日天下の古楽器奏法の法王

    この人は業績の割には評価が著しく低かった。とうとうサーの称号を得られなかった。 イギリスの有名な指揮者はほとんどサーの称号を贈られて、その業績が称えられているが、落ちこぼれてしまった。エンシェント室内管弦楽団でモーツアルトの新しい演奏を初めて一世を風靡したのである。オーケストラが鳴っていて、ハープ... 続きをみる

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  • こんな名演聞いたことがないゴンザレス指揮スペイン放送交響楽団のサンサーンス3番

    サンサーンスの3番の決定盤はセルジュ・ボドだと思っていたが、パブロ・ゴンザレス(1975-)に越えられてしまった。超迫力の名演でした。 フィナーレのコーダは、ゴンザレスのこれでもかこれでもかという伸縮自在なアゴギークに酔ってしまった。この驚くべき奇才指揮者に脱帽しきりである。 デユラン版171頁の... 続きをみる

  • もうフルトヴェングラーっ子とは云わせない。バレンボイム指揮ベルリン国立歌劇場管弦楽団のブラームス4番(4)

    神経系の体調不良と聞いて、すぐ思い出したのがコロナ後遺症の強い倦怠感だ。これで指揮者活動が閉ざされることになったか。バッハに『甘き死』というカンタータがある。不条理な死も、これで良しという感慨がある。何一つ良いことのなかった人生も、そんな人生をもう生きなくて良いとしたら、死は麗し。  指揮者ノイマ... 続きをみる

  • もうフルトヴェングラーっ子とは云わせない。バレンボイム指揮ベルリン国立歌劇場管弦楽団のブラームス4番(3)

    3楽章バレンボイムは恐るべき指揮者に変貌した。テインパニが証明する。 宇野功芳の中学の同級生に音楽フアンがいて、ということは宇野も中学生の頃は同じだったわけだが、演奏家はどうでもよく、曲を聞いて楽しむに如かず。死ぬ近くの同窓会で再会し、彼はこの同級生に非常な興味を持った。出発点のまま80歳を迎え少... 続きをみる

  • もうフルトヴェングラーっ子とは云わせない。バレンボイム指揮ベルリン国立歌劇場管弦楽団のブラームス4番(2)

    まだフルトヴェングラーが生きていた年代、ザルツブルグのマルケヴィッチの講習会に出席したバレンボイムはブロムシュテットと出会った。子供のバレンボイムは同僚から相手にされなかった。一人前に相手にしてくれたのがブロムシュテットだった。その彼は92歳でまだ現役の指揮者だ。そして有名な指揮者になれたのも2人... 続きをみる

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  • もうフルトヴェングラーっ子とは云わせない。バレンボイム指揮ベルリン国立歌劇場管弦楽団のブラームス4番

    熊本県民会館のお知らせを見て12月の公演がバレンボイム休演でテイーレマン代演のお知らせがあった。1月6日には月末を以てベルリン国立歌劇場の監督を退任することを発表した。2月2日のラジオでは、バレンボイムは引退した後ということになる。それが相応しいことかどうか、迷うことだが、これで永遠にバレンボイム... 続きをみる

  • TBS『ゲットレディー』第3話罪と罰の関係は?

    第3話から俄然おもしろくなった。 安達(杉本哲太)という風采の上がらない男が、駅前で娘の持つカサを待っている。娘は途中で三人組の不良に襲われて、殺されてしまう。安達はその三人組に復讐するのだが、只の復讐劇ではなかった。 安達が三人組を殺害すると、即覆面医師団が現れて応急処置をして、助けてしまう。殺... 続きをみる

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  • 大町陽一郎指揮大阪センチュリー・大阪シンフォニカーのブルックナー8番

    インテンポで演奏してゆくのが意外であったが、Vでシンバル追加でとうとう禁じ手だっだアゴギークが登場した。お見事な演奏だった。 第三楽章。 淡々としたインテンポの演奏は肩透かしを食った感じだった。 238小節に至ると、リタルランドが掛かり、大きな間が出来た。 次の小節はシンバルが鳴る箇所だ。 やはり... 続きをみる

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  • 岩本真理と向田邦子

    向田邦子(1929-1981)は一度岩本真理(1926-1979)に会っている。1977年岩本真理51才の時であった。そしてインタビューして「雷・小さん・ブラームス・岩本真理」なる文章を残している。 それではからずも、新証言が出たことから。 指揮者の山田一雄は当日東京在住の楽団員がほとんど全員集ま... 続きをみる

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  • ソヒエフ指揮NHK交響楽団のドビュッシー交響詩『海』

    第一楽章、冒頭はppで開始されるのだが、ソヒエフは結構大きな音量で開始していた。 1-2つ前のトランペットでは、ミユンシュ指揮ボストン交響楽団は、三連音2つをタイにして演奏して2分音符と塊にして演奏させていたが、ソヒエフも踏襲していた。 ソヒエフの交響詩『海』で、大変面白かったのは初版『海』を使用... 続きをみる

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  • バイデン辞任とハリス副大統領昇任の背景

    2023年1月20日が何故重要なのか不思議な気がする。1月21日は大統領就任式で、二人は就任して二年を超えてしまうのだ。 従来から本命サンダースだが、サンダースでは大統領選挙に勝てない。無難なバイデンが大統領になり、途中でハリスが副大統領から大統領に鞍替えする案で、バイデン・サンダース・ハリス票が... 続きをみる

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  • 録音消去記念、梅田俊明指揮東京フィルのロッシーニ『ゼヴィラの理髪師』序曲

    録音の容量が制限されていて、整理しないと大変なことになる。消去するのが惜しい気がする。ということで貯まる一方なのだ。遂に本日名残り惜しい一曲を消去します。それが梅田敏俊指揮東京フィルでロッシーニの歌劇『セヴィリアの理髪師』序曲。(2015・6・21) ロッシーニのロッシーニ・クレッシェンドだが、説... 続きをみる

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  • テンシュテット指揮ロンドン・フィルのマーラー交響曲4番

    日本ではマーラーは前衛音楽の露払いだが、テンシュテットは明らかにマーラーはエンターテイメント(娯楽音楽)としてとらえている。その正否は別にして、だからテンシュテットのマーラーは楽しいのだろう。 第一楽章のコーダで、テンシュテットは聴衆に喜んでもらう企みを用意していた。 336小節のホルンで、テンシ... 続きをみる

  • バドゥラ=スコダとアンスネスの対話、モーツアルト24番を巡って

    アンスネスの独創の種はバドゥダ=スコダにあったという話である。 バドゥダ=スコダのピアノ兼指揮プラハ室内管弦楽団でモーツアルトのピアノ協奏曲24番(2001・6・9)。 第二楽章。 14小節で、アンスネスは楽譜にない装飾音符を弾いている。 アンスネスピアノ兼指揮スウエーデン室内管弦楽団(2020・... 続きをみる

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  • ヨッフム指揮ロンドン交響楽団でベートーベン交響曲5番

    1977年録音でフィナーレの過激なアゴギーク(伸縮)はおそらく古い時代の最後のあがきであろう。それほど凄みのある演奏だ。まず現代では体験できないものだ。 ヨッフム(1902-1987)は、84才で没したが、今考えるとそう老人でもない。誰も彼も90才で元気なのだから、老熟が阿保らしい。彼の立ち位置を... 続きをみる

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  • ウェルザー=メスト指揮クリーブランド管弦楽団でシューベルト交響曲8番

    第三楽章が濃厚な解釈があった。ゼッキ・ワルター・マーグの影響下に圧倒的な巨匠性を顕示したといえよう。 第一楽章。 94小節に入るや、ダイナミクスの強化といいテンポのアッチェレラントを掛けて速さの凄みを見せた。この手法はカルロ・ゼッキ指揮チェコ・フィルの演奏であった。 さて、201小節のトロンボーン... 続きをみる

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  • 渡辺京二の世界ーこざかしいこと言うな。これは浪花節だ

    渡辺京二(1930ー2022)は年末の12月25日に92歳で逝去された。若くして吉本隆明に師事し、日本人の原像を追い求めた吉本隆明は、『共同幻想論』で恥ずかしい日本人に到達します。俳優藤田まことに『共同幻想論』を見て、色紙を求め書斎に飾っていたようです。 1970年、厚生省で石牟礼道子や渡辺京二は... 続きをみる

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  • ズガン・ソヒエフ指揮NHK交響楽団でベートーベン交響曲4番

    第一楽章のコーダの解釈が大変ユニークだった。483小節のpだが、多分一般的には注目されないが、ソヒエフは無視されるpをむしろ4小節も持続したことだ。楽譜にはpcresc.だから直ぐに音が大きくなるはずだ。 ppの持続は珍しい。さらにクレッシエンド指定でもわずかpに増大しただけだ。そして489小節で... 続きをみる

  • 谷津矢車『雲州下屋敷の幽霊』(2)殿様と奇人天愚孔平

    雲州藩こと松江藩の6代藩主松平宗行は享保14年に生まれ、2年後の享保16年に父の死去で藩主になった。家老たちの合議で藩政がおこなわれたのはやむおえなかったが、摂政を置かなかったのが後の災いになったようだ。 元服した3年後の延享元年、16才の藩主に藩医の息子の12才の天愚孔平が御伽衆(遊び役)に命じ... 続きをみる

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  • 谷津矢車『雲州下屋敷の幽霊』(1)松平不味の父の話

    江戸時代は面白い時代で、家来の殿様いじめがあった。長男次男まではお世継ぎ様で、それ以下は乱暴に扱われた。廃藩にあった藩に新しい藩主がやって来る。旧藩士はどんなに弱い立場かというと、そうでもない。新しい支配者に面従腹背して、隙あらば次男三男を担ぎ上げて、お家騒動を企てる。時代小説の種は山本周五郎、藤... 続きをみる

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  • 2西村賢太で田中英光と広西元信は早大同級生と判明

    西村賢太は女に手を出さず、ひたすら稼いで金は学問研究の文献収集に費やした。同棲した女性への暴力は創作世界の虚構である。痴情小説はフィクションだ。 そのことを証明するのが『田中英光私研究』(8冊、1994-1996年)ではなかったか。私家版なので、生憎入手困難な文献である。しかし目録は公開されている... 続きをみる

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  • 1西村賢太『どうで死ぬ身の一踊り』

    西村賢太は最初田中英光に熱中していたが、その偏愛を息子の田中光二に拒否されて、もうこれ以上のめり込むことが出来なくなって、藤沢清造に乗り換えた。そんな艶めかしい前歴はあるのだが、孤高の作家藤沢清造では、思い存分に偏愛を傾注することが出来た。 ここまでは教祖と信者の関係だった。小説家になって見ると、... 続きをみる

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  • パーヴォ・ヤルヴィ指揮ドイツ・カンマー・フィルでベートーベン8番

    パーヴォ・ヤルヴィ(1962-)はロサンンジェルス・フィルハーモニー音楽学校でバーンスタインの薫陶を受けたという経歴があるが、なるほどと言わせる箇所があった。どちらかというとピリオド奏法が基本なのだが、モダン・オーケストラを使用して、ピリオド・オーケストラに固執しない。 ヤルヴィの特長はベートーベ... 続きをみる

  • 250万部のベストセラー加藤広『信長の棺』と欠陥小説

    織田信長の首がない。本能寺の変の永遠の謎に、解答を与えたということで話題が沸騰した。それで250万部の驚異の売り上げを記録した。 昨年のNHK大河ドラマの『鎌倉殿の十三人』では、しょっちゅう敵将の首が出てくる。源頼朝が敵の首を見て安心する。間違いなく敵の首だと証明されて終わる。首で証明されない限り... 続きをみる

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  • プロの酷評と読者支持の狭間で・宇江佐真理年譜(1949-2015)

    昭和24年(1949)10月20日、北海道函館市に生まれる。 昭和44年(1969)20才。 函館大谷女子短期大学を卒業する。OLになる。その後結婚し、専業主婦となる。やがて創作に意欲が生じて、投稿を始めた。ここまではカルチャーセンターに集まる文芸コースの受講生である。 岡田斗司夫が学校とは一時間... 続きをみる

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  • 人生に勝敗はあったが敗北の連続だった・西部邁年譜(1939-2018)2

    昭和52年(1977)、アメリカのカルフォルニア大学に二年間留学したが、その活動はよくは知られていないまま、日本に帰国した。青木正彦は恩師チップマンに出会い、その縁でアメリカの学界で地位と名声を築いたが、西部はその甲斐なく帰国した。数年低迷期間を経ることになる。 昭和58年(1983)44才の西部... 続きをみる

  • 人生に勝敗はあったが敗北の連続だった・西部邁年譜(1939-2018)1

    昭和14年(1938)3月15日、北海道山越郡長万部町に生まれる。  コメディアン由利徹の有名なギャグ「オシャマンベ」で、人口より熊の数の方が多いという不毛の地だったことが、第一の劣等感(田舎者)だった。父は浄土真宗の僧侶の子だった。つまり最低度のインテリに属したことが有利でもあり第二の劣等感(大... 続きをみる

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  • 年末恒例の第九はアーベントロート指揮ゲルハルト・ボッセ(コンマス)ライプツィヒ放送交響楽団1953年

    バイオリニスト・指揮者のゲルハルト・ボッセは1951-1954年の間ライプツィヒ放送交響楽団のコンサートマスターを務めていた。名指揮者アーベントロートの指揮の下でコンサートマスターを務めていたのだった。 そして1953年、アーベントロートが指揮したライプツィヒ放送交響楽団で、ベートーベンの交響曲9... 続きをみる

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  • コリンズ版の大成功マケラ指揮オルロ・フィルのシベリウス2番

    コリンズ(1893-1963)はイギリスの指揮者でシベリウスの大家であったが、彼は大胆なシベリウスの修正でもしられていた。シベリウスの2番は原曲のままでは不都合があって、それをどうアレンジするのが指揮者の能力だともいわれている。 フィンランドの俊英指揮者チャールズ・マケラ(1996-)が大胆にも祖... 続きをみる

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  • ゲルハルト・ボッセ指揮新日本フィルのベートーベン1番

    ゲルハルト・ボッセが77才であった1999年3月の演奏会のライブ録音。 第一楽章。 序奏はアダージオ・モルト、一般よりはかなり遅いテンポで、テヌート記号が全体を支配していると考えたようだ。 4小節のバイオリンにクレッシェンドを掛けさせたのはユニークだった。 8小節からテヌート記号があり、音符は一音... 続きをみる

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  • 凄い人がいたものだアーベントロート下のコンマスのボッセ

    凄い人がいたものだ。アーベントロート(1883-1956)のライプツィヒ放送交響楽団(1949-1956)でコンサートマスターをしていたのがゲルハルト・ボッセ(1922-2012)であった。 ボッセはライプツィヒ放送交響楽団のコンサートマスター(1951-1954)をしていた。 アーベントロートと... 続きをみる

  • ヴァイグル指揮読響のブラームス『ドイツ・レクイエム』

    久々の手ごたえのあるブラームスの『ドイツ・レクイエム』の演奏であった。 ヴァイグル指揮読響(2022・9・22) やはり第6曲が盛り上がったし、ヴァイグルの指揮振りもあった。 66小節のバリトン・ソロの”Au”をfで歌わせていたのは見事だった。 続く75-76小節のテンパニの2つのffを、ヴァイグ... 続きをみる

  • 都議会のドン内田茂年譜(1939-2022)

    12月21日午前7時老衰で死去し、小池知事は「都議会から都政をけん引され、多くの功績を残された。心から謹んでお悔やみ申し上げる」と弔意を示した。 民意を反映した良い青島幸男が出て、都行政が機能不全した時、影で都知事として采配してその後30年も悪い都政を生んだ。石原慎太郎・猪瀬・舛添の3知事は役に立... 続きをみる

  • アクセル・コーバ指揮バイロイト祝祭管弦楽団の『タンホイザー』

    なかなか個性的な解釈で感心した。近年の『タンホイザー』では傑出した演奏だった。 『序曲』13小節のクラリネットを名演の誉高いサバリッシュ指揮バイロイト1962年と同じクレッシェンドしている。 サバリッシュと同じ所でアクセル・コーバもクレッシェンドしている。 37小節の3連音符で、コーバは大胆にもリ... 続きをみる

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  • モーツアルトと中村仲蔵、飲食タイムを芸術の頂点にした男

    今NHKで『中村仲蔵』を放送していたが、洋の東西で舞台の飲食タイム(休憩時間)を芸術の頂点に変えた人物が二人いたわけだ。モーツアルト(1756-1791)と中村仲蔵(1736-1790)である。しかも同時代だった。                      * モーツアルトは1764年にロンドンを... 続きをみる

  • ルイージ指揮NHK交響楽団のモーツアルト36番『リンツ』

    メンデルスゾーンよりモーツアルトの方がルイージの独自性が出ていたので、モーツアルトを論評します。 第一楽章、35小節にクレッシェンドを掛けたのが、ルイージとラクリンであった。 ラクリン((1974-)は日本ではほとんど知られてないが、今夜のコンサートマスターの篠崎まろ氏とはウィーン音楽大学の同窓で... 続きをみる

  • 装飾音符を演奏したケンプのライトナー指揮バンベルク交響楽団モーツアルト23番

              庭の侘助が咲きました。 楽譜にない装飾音符を演奏するのはピリオド奏法の特許ではない。かつては彼らの許せざる蛮行として非難に甘んじた往年の巨匠たちの名盤復活で次々に復刻されて、楽譜にない装飾音符の演奏は今や再評価に転じました。カーゾン有り、今回はケンプ有りです。 モーツアルトピア... 続きをみる

  • 朝比奈隆の影響を受けたルイージ指揮NHK交響楽団のブルックナー2番

    ブルックナーの2番1872年稿の演奏は初めて聞くが、さすがに冗長の気がしないでもない。 ところで2番は日本の朝比奈隆や小沢征爾の得意とする音楽で、逆に欧米人の不得意とするところだ。カラヤンに手垢がつていないから「おまえ向きだ」と言われて、小沢征爾は得意とすることになった。朝比奈隆も先例や伝統のない... 続きをみる

  • アンドリス・ポーガ指揮スタヴァンゲル交響楽団の『海』

    このオーケストラには山田和樹がシベリウスの2番を指揮し、来日までしているらしい。指揮者のアンドリス・ポーガ(1980ー)も度々来日しているようだ。 ドビュッシーの交響詩『海』も冒頭から明解な音作りがあった。 面白いのは二楽章の終わりでテンポを落とした辺りだ。 42-7のフルートをラレンタンドで演奏... 続きをみる

  • 大変な見っけ物エセル・スマイス『難破船略奪者』序曲(1906)ペトレンコ指揮オスロ・フィル

    極力耳以外の雑音は聞きたくない。そういうわけで上野千鶴子のバイアスの影響を受けて持ち上げる気はさらさらないのだけれど、そう言う時は避けたい。スマイスが女性運動家の先駆者など糞食らへなのだが、本物の作曲家、聞くに堪える音楽だ。 そう思って序曲を聞いた後調べると、大変な音楽家だった。十分取り上げられた... 続きをみる

  • 天才コルビェーン・ホルテ指揮ノルウェー放送管弦楽団の『未完成』

    シューベルトの歌曲『魔王』レ-ガー編曲版を使用するところから、この人は尋常ではない人物である。案の定シューベルトの交響曲7番『未完成』の演奏は尋常ではなかった。 コルビェーン・ホルテ(1973-)はノルウェーのバイオリニストで指揮者である。1974年にオスロー音楽院の教授になった女流バイオリニスト... 続きをみる

  • 『世界サブカルチャー史』欲望の系譜9と『グラン・トリノ』(クリント・イーストウッド)

    今週のテレビはこの2つが妙に繋がっていた。 『世界サブカルチャー史』は、1980年代ちょうどアメリカに日本車が氾濫して自動車産業が没落した時で、日本車がハンマーで破壊された。日本人が憎まれて間違えられた中国人が殺される事件まで発生した。アメリカ人は本気で日本人を恨んでいたわけだ。今年中国人に間違え... 続きをみる

  • シューマンと岡潔「無明の音楽」ヘルベッヘ指揮フランクフルト放送交響楽団の4番

    昔岡潔という数学者がいたが、彼はシューマンの音楽は「無明の音楽」だと言った。曖昧模糊として不鮮明な旋律から救いようのない一種狂人の音楽のように喩えられていたが、それこそがシューマンの本質で救済され難い人間の業のようなものを表現していたに過ぎなかった。つまり人間の無明を表わしたのだ。 またフランス人... 続きをみる

  • グレン・グールドと『草枕』(8)草枕本文

    *春は眠くなる。猫は鼠を捕る事を忘れ、人間は借金のある事を忘れる。時には自分の魂の居所さえ忘れて正体なくなる。ただの菜の花を遠く望んだときに眼が醒める。雲雀の鳴くのは口で鳴くのではない、魂全体が鳴くのだ。魂の活動が声が声にあらわれたもののうちで、あれほど元気のあるものはない。ああ愉快だ。こう思って... 続きをみる

  • グレン・グールドと『草枕』(7)草枕本文

    *余の考えがここまで漂流して来た時に、余の右足は突然坐りのわるい角石の端を踏み損くなった。平衡を保つために、すわやと前に飛び出した左足が、仕損じの埋め合わせをすると共に、余の腰は具合よく方三尺ほどな岩の上に卸りた。肩にかけた絵の具箱が腋の下から躍り出しただけで、幸いと何に事もなかった。(岩波文庫9... 続きをみる

  • グレン・グールドと『草枕』(6)草枕本文

    *こまかにいえば 写さないでもよい。ただまのあたりに見れば、そこに詩も生き、歌も湧く。着想を紙に落とさぬともキュウソウの音は胸裏に起こる。丹青は画架に向かって塗抹せんでも五彩の絢爛は自から心眼に映る。ただおのが住む世を、かく観じ得て、霊台方寸のカメラにギョウ季混濁の俗界を清くうららかに収め得れば足... 続きをみる

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  • グレン・グールドと『草枕』(5)グレン・グールドの本文朗読

    Oこれから第一章の抜粋を朗読します。(グレン・グールド) *山路を登りながらこう考えた。智に働けば角が立つ。情を通せば窮屈だ。とかくにこの世は住みにくい。住みにくさが高じると、安い所へ引き越したくなる。どこへ越しても住みにくいと悟った時、詩が生まれ,画が出来る。(岩波文庫7頁) 古来より『草枕』の... 続きをみる

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  • グレン・グールドと『草枕』(4)漱石とトーマス・マン

    *山路を登りながら、こう考えた。智に働ければ角が立つ。情に掉させば流れる。意地を通せば窮屈だ。とかくに人の世は住みにくい。(岩波文庫7頁) O『三角の世界』は1906年に書かれた。しかしほとんど動きのないこの作品は、二年前の日露戦争下(1904年)が舞台になっている。この戦争は直接的な関係はなく、... 続きをみる

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